マイナンバーカード交付事務費補助金の申請漏れについて
西宮市は9月18日、マイナンバーカード交付事務費補助金について、本来、国から交付を受けることができた約6,000万円を申請しておらず、補助金を受け取ることができなくなったことを公表しました。
今回の事案について、現時点での事実関係と、私自身の考えを整理しておきたいと思います。
【何が起きたのか】
今回、未申請となったのは、2025年度に実施したマイナンバーカードの電子証明書更新業務などにかかる外部委託費です。
これらの経費は国の補助対象でしたが、市の担当職員が補助対象外であると誤認し、交付申請を行っていませんでした。
一方、予算上は国からの補助金収入を見込んでいました。その後、決算資料を確認する中で、実際の補助金収入が予算額を大幅に下回っていることが判明し、今回の申請漏れが発覚しました。
市は国に追加申請ができないか確認しましたが、すでに申請期限を過ぎていたため、交付を受けることができない状況となっています。
結果として、本来であれば国費で賄うことができた約6,000万円について、西宮市の一般財源で負担することになります。
【国の制度について感じること】
今回、市に申請漏れというミスがあったことは事実であり、再発防止は当然、徹底しなければなりません。
その一方で、私は国の制度そのものについても、率直に違和感を持っています。
マイナンバーカードに関する事務は、国の制度として全国の自治体が多くの実務を担っています。
それにもかかわらず、その事務に必要となる経費について、自治体側が補助対象となる経費を正確に把握し、所定の手続きを行い、期限内に申請しなければ、国から満額の財政措置を受けられない。
国の事業として自治体に実務を担わせるのであれば、自治体に過度な申請事務を課さず、必要な経費がより確実に措置される仕組みを考える余地はあるのではないかと思います。
ただし、制度に課題があることと、今回、西宮市が必要な申請を行わなかったことは別の問題です。
今回の約6,000万円については、期限を過ぎていることもあり、国会議員を通じて国にも確認しましたが、現状では交付を受けることはできません。
であるならば、今、私たちが考えなければならないのは、「失った6,000万円をどうするのか」です。
【6,000万円は「市役所のお金」ではない】
今回の件について、市は謝罪し、再発防止に取り組むとしています。
もちろん、それは必要です。
しかし、今回の記者会見などを見ていて、私には一つ気になっていることがあります。
それは、「この6,000万円は誰のお金なのか」という認識です。
一般財源で穴埋めをする、と言えば行政上はそれで処理できます。
しかし、その一般財源は、市役所が自ら生み出したお金ではありません。
市民の皆さんに納めていただいた税金をはじめとする、大切な財源です。
本来、国から6,000万円が入ってくるはずだったところ、それが入ってこない。
ということは、本来であれば別の市民サービスや行政課題の解決に使うことができた財源を、今回の申請漏れによって使わなければならなくなったということです。
私は、このことをもっと重く受け止める必要があると思っています。
これは今回の担当部署だけの話ではありません。
市役所全体として、「自分たちが扱っているお金は、市民からお預かりしている大切なお金である」という意識を、改めて徹底する必要があります。
【責任追及だけで6,000万円は戻ってこない】
もちろん、なぜ今回の申請漏れが起きたのか。
なぜ予算では補助金収入を見込んでいたにもかかわらず、申請されていないことを途中で確認できなかったのか。チェック体制に問題はなかったのか。
こうした点は、しっかり検証しなければなりません。
そして、同じようなことが他の部署や他の補助金で起きていないのかも含め、全庁的な点検と再発防止が必要です。
一方で、誰か一人を責め続けても、失った6,000万円が戻ってくるわけではありません。
だからこそ私は、再発防止を徹底すると同時に、これを行政の仕事の仕方そのものを見直す契機にしなければならないと考えています。
補助金や交付金の申請漏れを防ぐ仕組みをつくる。
予算に計上した歳入が予定どおり確保できているのか、年度途中でも確認できる仕組みをつくる。
そして、事務の効率化や歳入確保、既存事業の見直しなどを積み重ねる。
今回失うことになった約6,000万円に相当する財政効果を、これからの行政改善によって生み出していく。
簡単なことではありません。
しかし、取り戻すことのできない6,000万円について、ただ「申し訳ありませんでした」「再発防止に努めます」で終わらせるのではなく、それだけの成果を市民にお返しする仕事をする。
私は、それが今回の事案に対して行政が示すべき姿勢ではないかと考えています。
市民の皆さんからお預かりしている一円一円を大切に扱う。
今回の問題を、一つの部署、一つの申請ミスだけの問題として終わらせず、その当たり前の意識を西宮市役所全体でもう一度徹底する。
私自身も、そのためにできることを進めていきたいと思います。